第3回 石橋財団レクチャーシリーズ
「日本庭園って、誰のもの?」
2016年3月12日(土)13:30~16:30(開場 13:00)(同時通訳付き)
会場:京都造形芸術大学 瓜生山キャンパス内 直心館 J41教室
〒606-8271 京都市左京区北白川瓜生山2-116 075-791-9122(代表)
アクセス
講演会のビデオはこちら
自然と人間の深いかかわりの中から生まれた日本庭園。今や‘Japanese Garden’ は世界中で人々の憩いと安らぎの場となっています。いつから日本庭園は日本だけのものではなくなり、米国、豪州、アジアそして中東欧でも愛されるようになったのでしょうか。海外における日本庭園の普及と進化について探ってみます。
第3回石橋財団レクチャーシリーズ :講演1「西洋社会は日本庭園とどのように関わってきたか」渡辺俊夫教授(英語による発表、講演は09:40より)
第3回石橋財団レクチャーシリーズ :講演2「日本庭園と自然美」ウィーベ・カウテルト教授(英語による発表)
第3回石橋財団レクチャーシリーズ :パネル ディスカッション(日本語)
シリーズ第3回目の講演会趣旨
明治時代以降、海外における日本文化の紹介において日本庭園は常に重要な要素となってきた。日英同盟の継続を希望する小村寿太郎外務大臣(当時)の強い後押しを得てロンドンで開催された1910年の日英博覧会において大規模な日本庭園が造園されるなど、当初は、日本庭園の美的な側面が主として評価されていた。
その後も海外における日本庭園の普及は、米国、豪州にも広がっており、更に近年は、冷戦時代ソ連圏に所属していた中・東欧諸国において、数多くの日本庭園が作られている。更に、美的な面における日本庭園の意義にとどまらず、近年は「失楽園(dystopia)」と化しつつある世界中の都市における癒しの空間としての日本庭園の意義への評価も高まっている。この典型的な例として、英国においては、病院、ホスピスにおける日本庭園造園の動きも見られる。
石橋財団レクチャーシリーズにおいては、日本文化がどのようにして、欧州で受容、解釈され、それが翻って日本にどのような形で影響を与えてきたかという日欧文化交流の変遷を日本の聴衆に伝えることを目的に実施されてきた。第1回は視覚芸術、第2回は考古学の分野において、それぞれ、大学における研究者と美術館・博物館における実践者を講師に招き実施した。
第3回目となる本講演会は、日本庭園をテーマに、大学における研究者と造園に多く携わってきた実践者を招き、欧州における日本庭園文化の受容と変遷の歴史を見直す。その上で、京都造形大学教授、日本庭園・歴史遺産センター所長の尼﨑博正教授を交えたパネル討論会において日欧における交錯点を探る。
プログラム
13:40-15:20 第1部 講演会
講演1
「西洋社会は日本庭園とどのように関わってきたか」
渡辺俊夫教授
イーストアングリア大学
(セインズベリー日本藝術研究所)教授
ロンドン芸術大学チェルシー校
(トランスナショナル・アート研究所)教授
講演2
「日本庭園と自然美」
ウィーベ・カウテルト教授
ソウル国立大学環境大学院教授
京都造形芸術大学大学院客員教授
15:20-15:35 休憩
15:35-16:30 第2部 パネル討論会
モデレーター 尼﨑 博正教授
京都造形芸術大学教授
日本庭園・歴史遺産研究センター所長
講演者及びモデレーター
渡辺俊夫教授
イーストアングリア大学(セインズベリー日本藝術研究所)教授
ロンドン芸術大学チェルシー校(トランスナショナル・アート研究所)教授
バーゼル大学で博士号を取得し、1977年以降英国で教鞭をとっている。2004年にロンドン芸術大学にトランスナショナル・アート研究所(TrAIN) を設立し、国境を越えた芸術、文化の意義について研究し、後進の指導にあたっている。主な著書に『自然の美・生活の美—ジョン・ラスキンと近代日本』Ruskin in Japan 1890-1940: Nature for art, art for life(監修)郡山市美術館 1997年(1998年ジャパン・フェスティバル賞受賞, 1999年 ゲスナー賞 金賞受賞)などがある。現在、国際美術史学会副理事長、Tate Research Centre: Asia-Pacific顧問などとしても活動している。
ウィーベ・カウテルト教授
ソウル国立大学環境大学院教授
京都造形芸術大学大学院客員教授
オランダ国立ワーゲニンゲン農科大学で博士号を取得後、京都大学での研修を経て、その後、日欧の大学・研究機関で研究に携わる他、海外における日本庭園の造園にも携わってきた。企画設計を手掛けた主な庭園に「キューケンホフ日本桜園」やオランダ国立ライデン大学植物園内の「フォン・シーボルト記念日本庭園」などがある。日本庭園に関する著作もGardens and Landscapes in Japan: 1650-1950 University of Pennsylvania Press (2016年夏出版予定)、 Themes in the History of Japanese Garden Art Hawai’i University Press(2002年)、『庭づくりの心と実践』(共著)角川書店(1999年)など多数。専攻は、景観・造園文化史、環境デザイン、造園設計。
尼﨑 博正教授
京都造形芸術大学教授
日本庭園・歴史遺産研究センター所長
京都大学を卒業後、造園の現場で修行。京都迎賓館庭園の監修など作庭活動を続けつつ、日本庭園の研究実績を基に文化財庭園の保存修復指導に携わる。主な著書に『植治の庭』(編著、1990年)、『茶庭のしくみ』(2002年)、『尼﨑博正作庭集』(2006年)、『七代目 小川治兵衛』(2012年)など。日本造園学会賞(1992年)、京都府文化賞功労賞(2007年)、日本公園緑地協会 北村賞(2010年)、日本庭園学会賞(2011年)などを受賞。
石橋財団レクチャーシリーズについて
第3回目を迎える「石橋財団レクチャーシリーズ」は公益財団法人石橋財団の支援を得て、イギリス所在のセインズベリー日本藝術研究所企画により日本にて実施されています。本シリーズは、欧州における日本の文化・芸術研究の進捗状況及び、欧州と日本の文化・芸術がいかに影響を与え合っているのかといった視点からの研究成果を日本の皆様にお伝えすることを趣旨としています。 今回は京都造形芸術大学日本庭園・歴史遺産研究センター (http://www.jghh.jp/) のご協賛を得て、同大学にて開催されます。講演は同時通訳付きで行なわれます。本講演会シリーズの開催が、日本文化・芸術研究における欧州からの新たな視点の提供と日欧間の芸術文化研究交流のさらなる活性化につながることが期待されます。
参加無料
予約不要。定員380名先着順。
メール k.nishioka@sainsbury-institute.org
Tel: +44 (0)1603-597510 | Fax: +44 (0)1603-625011
主催 セインズベリー日本藝術研究所(英国ノリッチ所在)http://www.sainsbury-institute.org
協賛 京都造形芸術大学 日本庭園・歴史研究センター http://www.jghh.jp
後援 公益財団法人 石橋財団 http://www.ishibashi-foundation.or.jp
画像:ノリッチ大聖堂に設置された日本庭園